ロングエンデュランスの糖質:エリートの補給戦略からアマチュアが取り入れるべきこと
エリートは1時間に最大120グラムもの糖質を摂取する。長いレースで本当に必要な燃料量、なぜグルコースとフルクトースを混ぜるのか、そしてそれに胃をどう慣らすかを解説する。
ジェル、アイソトニック飲料、噛むタイプの糖質グミ——エリートのマラソン選手やトライアスリートのエイドテーブルに並ぶ武器は、シーズンごとに増えている。今日のトップウルトラマラソンランナーは、1時間に最大120グラムの糖質を摂取する——ほんの10年前には胃腸障害への一直線に思えた数字だ。このトレンドの背後にあるのは流行ではなく生理学である。吸収できる燃料が多いほど、ペースを長く保てるのだ。エリートの戦略のうち、アマチュアに本当に役立つものは何か、プロに任せておいたほうがよいものは何かを整理していこう。
糖質はどれだけ、いつ
適量はレースの長さによって決まり、あなたの競技レベルによるものではない。
- 60分まで — 燃料はほとんど必要なく、糖質飲料での**マウスリンス(口すすぎ)**で十分だ。口の中の受容体が脳を「だまし」、努力感を下げてくれる。
- 60〜150分 — 30〜60 g/時。
- 150分を超える場合 — 60〜90 g/時。
例の120 g/時はウルトラマラソンの話だ。あるレビューでは、この用量が超長距離での疲労の発現を遅らせると指摘されている。ただし150分を超えるレースでは、90 g/時を超えても、グリコーゲンが完全に枯渇していない限り、通常それ以上の上乗せは得られない。
アマチュアのパラドックスは、典型的なミスが食べ過ぎではなく摂取不足だということだ。多くの人は3時間のレースでジェルを1本しか摂らず、ゴールでの「壁」に驚くことになる。
2つの輸送体:混合物のほうがよく吸収される理由
腸はグルコースをSGLT1というタンパク質を介して運ぶが、その処理能力には限界がある。純粋なグルコースは1.0〜1.2 g/分(約60 g/時)の速度で酸化される——これが「天井」だ。しかしフルクトースには独自のチャネル——GLUT5がある。これを加えると、総酸化速度はおよそ1.5 g/分まで上がる——それが例の約90 g/時だ。
だからこそ混合物が流行っている。グルコース対フルクトースの古典的な比率は2:1で、一部の研究では耐容性を高めるために1:0.8に近い比率を提案している。運動中は6%グルコース溶液または8〜10%のグルコース・フルクトース混合物が勧められる。形状——ジェル、飲料、噛むタイプ——は利便性の問題だ。大事なのは吸収されることであって、食感ではない。
実用的な結論:成分表を読むこと。60 g/時を超えて吸収したいなら、ラベルに単一の供給源ではなく、マルトデキストリン/グルコースとフルクトースが同時に記載されているものを探そう。
鍛えられた腸はひとつのスキル
お腹も筋肉と同じで、トレーニングに応える。トレーニング中に糖質を定期的に摂ると消化管が「調整」される。まさにあのSGLT1とGLUT5という輸送体の活性が高まり、吸収能力が上がり、不調のリスクが下がるのだ。
レビューには示唆に富むプロトコルが紹介されている。2週間で10セッション、VO2maxの60%で60分間のランニングに、0分・20分・40分に糖質30gのジェルを摂取する。結果は——消化器の不快感の顕著な減少だった。
最大のミスは、レース当日に新しい補給を試すことだ。「レース用」の胃はあらかじめ、距離で使う予定のものと同じジェル、同じやり方で仕上げておくものだ。
実践への落とし込み方
これを長いレース(150分超)のためのスキームにまとめよう。
- カーボローディング。 90分を超えるイベントには、スタートの36〜48時間前から、1日あたり10〜12 g/kgの糖質を。最後の食事は、糖質75 gを超えず、少なくともスタートの2時間前に。
- レース中。 グルコースとフルクトースの混合物から60 g/時で始める。消化管が慣れていれば90 g/時へと進めていく。ナトリウム(飲料中の30〜50 mmol/Lが吸収を助ける)と、自分に合うならカフェイン(スタートの60分前に6〜9 mg/kg)も忘れずに。
- リカバリー。 最初の4時間は1〜1.2 g/kg/時、グリコーゲンを回復させるために1日で合計8〜10 g/kgを。
そして何より——スキーム全体はレースではなく、ロングトレーニングで走り込んでおくこと。
まとめ
- 燃料の量は時間が決める:60分まではマウスリンス、60〜150分は30〜60 g/時、それ以上は60〜90 g/時。
- 120 g/時はエリートのウルトラマラソンの話。ほとんどのアマチュアには堅実な60 g/時で十分だ。
- グルコースとフルクトースの混合物(2:1または約1:0.8)は酸化を約1.0〜1.2から約1.5 g/分へ引き上げる——これが高用量の鍵だ。
- 腸は鍛えられる:トレーニング中の定期的な糖質が耐容性を高める。
- アマチュアのミスは、糖質の摂取不足と、レース当日の新しい補給だ。
出典:Cao W., He Y., Fu R., Chen Y., Yu J., He Z. — Carbohydrate Supplementation Approaches, Nutrients, 2025. https://www.mdpi.com/2072-6643/17/5/918