トレーニング中の正しい水分補給:神話を排したNATAの見解
水分量に万能の基準はありません。なぜ体重の2%以上を失ってはいけないのか、自分の発汗量をどう計算するか、そして喉の渇きに任せて飲むべき時と計画的に飲むべき時を解説します。
汗で体重のわずか2%を失っただけで、主観的には問題なく感じていても、あなたはすでに遅くなっています。だからこそ「どれだけ、いつ飲むか」という問題は、走りながらではなく事前に解決しておくべきです。全米アスレティックトレーナーズ協会(NATA、2017年)の最新の見解は、一つの考えに集約されます——万能の基準は存在しない。水分の失われ方は人それぞれで、水分補給の戦略は自分に合わせて選ぶ必要があります。どの数値を拠り所にし、自分だけの「発汗量」をどう計算するのかを見ていきましょう。
なぜ2%が「レッドライン」なのか
通常、体は水分を狭い範囲に保っています——+1%(わずかな過剰)から−3%(わずかな不足)まで。しかし汗によって体重の2%を超えて失うと、持久力は確実に低下します。喉の渇きに任せて飲んでいても、自分の最大値は引き出せません。
脱水時に体の内側で起きること:
- 心拍数が上がる——失った体重1%ごとに約3–5拍/分。
- 深部体温が上がる——体重1%の減少ごとに約0,15–0,20 °C。
- 体温調節は1%を超える不足の時点ですでに損なわれ、3%を超えて失うと熱中症のリスクが顕著に高まります。
要するに、脱水した体は高回転で動いている状態です。心臓の負担は増し、冷却は難しくなります。目標は、損失を2%以内に抑えることです。
自分の発汗量を計算しよう
この文書の主要な実践ツールが、運動前後の体重測定です。NATAの計算式:
発汗量(l)= 運動前の体重(kg)− 運動後の体重(kg)+ 摂取した水分(l)− 尿量(l)
そして発汗率:発汗量 ÷ トレーニング時間(h)。
正しいやり方:
- トレーニング前は裸(または最小限の乾いた服)で体重を測り、後は水気を拭き取ってから測ります。
- トレーニング中にどれだけ飲んだかを数えます。
- いつもの条件(同じ天候、同じ強度)でトレーニングします。
例:前——70,0 kg、後——69,0 kg、1時間で0,5 l飲んだ。発汗量 = 70,0 − 69,0 + 0,5 = 1,5 l/h。これでおおよそどれだけ補えばよいか分かります。
重要:成人の発汗率には大きな幅があります——0,5〜1,8 l/h、汗中のナトリウム濃度は10〜100 mEq/l。だから他人の「基準」は役に立たず、頼れるのは自分の計測だけです。
喉の渇きで飲む?それとも計画で飲む?
NATAは二つのアプローチを示していて、どちらも正しい——課題次第です:
- 自分の発汗率を知らない、または楽しみで運動している → 喉の渇きに任せて飲む。これは最大の失敗——飲みすぎ——から守ってくれる安全な戦略です。
- 結果を狙っていて、自分の発汗率を知っている → 計画的に飲み、体重を増やさずに損失を補う。
安全上の重要ルール:運動中に体重を増やしてはいけません。ゴールで増えているのは、失った以上に飲んだということ——それは危険な低ナトリウム血症(EAH)への道で、血中ナトリウムが135 mmol/l を下回る状態です。マラソン選手や長距離レースの参加者では10–20%の割合で確認されています。最も有名な事例の一つが、けいれんを鎮めようとして約4ガロン(およそ15 l)の水とスポーツドリンクを飲んだサッカー選手の死です。
実践への落とし込み方
時間別のスキーム:
- 1時間まで:通常は水で十分、喉の渇きに任せて飲む。
- 1–3時間:目安は15–20分ごとに約200 ml、炭水化物(理想は3–8%)とナトリウムを含む飲料。
- 3時間超/ウルトラ:自分の発汗率で計算し、定期的に体重を測り、体重を増やさない。汗がとても塩辛く(ナトリウムが60 mEq/l 超)、発汗率が2,5 l/h を超えるなら、ナトリウムを追加する。
スタート前:すでに水分を満たした状態(正常な水分状態)で臨む。一般の愛好者がわざわざ水を「備蓄」する必要はありません。
運動後:最初の数時間(4 h まで)で不足分の150%まで補い、水分・電解質・炭水化物を取り戻すために2時間以内に食事をとる。
よくある間違い:
- 「念のため」に多めに飲む——低ナトリウム血症のリスク。
- 濡れた服のまま体重を測る——数字が狂う。
- 「予防のため」の塩タブレットに頼る——個人の損失を超える効果の証拠は乏しい。
- 一つの指標だけで水分状態を判断する。より確実なのは三つ同時に——朝の尿の色、喉の渇き、体重。
まとめ
- 水分の損失は体重の2%以内に保つ——それを超えると持久力が落ち、心臓への負担が増す。
- 不足1%ごとに = 心拍+3–5拍、深部体温**+0,15–0,20 °C**。
- 運動前後の体重測定で自分の発汗率を知る:損失 = 前の体重 − 後の体重 + 飲んだ量。
- 発汗率を知らない、または自分のために運動している——喉の渇きに任せて飲む;結果のためなら——計画的に。
- コース上で決して体重を増やさない:低ナトリウム血症のリスク。
- 運動後は不足分の150%まで補い、2時間以内に食事をとる。
出典:NATA — Fluid Replacement for the Physically Active. https://www.nata.org/sites/default/files/2025-08/fluid_replacement_for_the_physically_active.pdf